ユーロドルレートの水準を見極める

ユーロドルの為替レート予想 実質相場と名目相場、購買力平価

ドルとユーロの相場は、世界の諸通貨相場の中軸である。これまでの履歴が浅く、ドル円ほど実質相場のレンジは明瞭ではないが、発足後の1999〜2001年の下落局面(1ユーロ1.0ドル割れ)は購買力平価をかなり下回る水準だったといえる。

 

この時期のユーロ下落については、米国に対する欧州の景況感の劣後や発足まもないECBへの信認の不安定さなどが理由として当時語られたが、後講釈の感は否めない。90年代末から2000年代初頭にかけて欧州から米国への投資フローがネットで増えており(ドル買い・ユーロ売り)、こうしたマネーフローの変化に対応した相場だったのは事実だ。

 

一方、実質実効相場ベースで90年代から長い上昇基調をたどった米ドルは02年にピークをつけ、03年以降下落トレントをたどった。ユーロはドルからの分散投資を志向する世界の官民投資家の対象となった。しかし、それにしても08年の1.5ドル超えの相場水準は対ドルでかなりの割高圏であったことはPPP図からも明らかだ。当時、欧州の多くのエコノミストも1.5ドル超えはユーロの過大評価だと判断し、この時点で1.4ドルに向けたユーロ安を予想していた。

 

その後、08年後半の世界金融危機によって、ユーロ高の調整は一気に起こり、1.6ドル手前の高値から1.3ドル割れまで急落した。

 

ただしユーロの相場急落でも99年起点のPPP図で見る限り、PPPの水準までは戻り切らなかった。1.2ドル台で底を打ち、足元では1.4ドル台に上がってきている。米国の対外投資(ドル売り・非ドル買い)の再開など、世界のマネーフロー回復を反映した結果でもあろう。ユーロが将来米ドルに取って代わる基軸通貨になるといラ議論もあるが、エコノミストの多くは「近未来の出来事」としてとらえてはいない。