ユーロ円レートの水準を見極める

ユーロ円のレート予想 名目レートの130円前半はユーロ高圏内で推移するだろう。

ユーロ円相場の軌跡は、ユーロの対ドル相場の上下動に、2000年代の円売りキャリートレードのブームによる全般的な円安とその崩壊(円急騰)の波を合体したものとなっている。欧州統合通貨ユーロの相場は1999年の発足からまだ10年の履歴しかなく、ドル円ほど実質相場指数による大局的な相場上下動の中心レンジを鮮明に描けるわけではないが、2000年の対円で100円割れは割安圏、一方で08年前半の160円超えは割高圏だったといえる。ユーロの対ドル相場と同様だ。

 

08年後半からの急落でいったん120円割れの水準まで落ちたが、九九年を起点としたPPPの水準までは下落せずに、持ち直した。現在の130円台前半の名目相場はユーロスタート時点とほぼ同じ水準だが、実質で見るとややユーロ割高圏にある。 90年代以前の為替相場は総じて、対円、対欧州通貨共に程度の違いはあっても、対ドルに連動して上下動を繰り返す傾向が強かった。ところが90年代後半以降の円売りキャリートレードの世界的な蔓延は、対ドル中心の相場のパターンに変化をもたらした。

 

世界の投資家層がリスク資産のポジションを拡大する局面では、金利差獲得を狙った円売り・高金利通貨買いで円安が進む(96〜98年、05〜07年)。反対に、金融危機や投資ブームの破裂によって投資家のリスク許容度が低下するときには、累積した円売りポジションの巻き戻し(円買い)で一気に円高になる(98年後半、08年後半)、という動きだ。

 

今後のユーロ円相場も、趨勢的なインフレ格差を反映し金利格差が持続すると考えられ、こうした円キャリーの膨張と破裂の波を繰り返すことになろう。現状のPPPで判断する限り、1ユーロ140円以上は「ユーロ割高」と見られる。投資を増やす相場ではない。